ウイルスは排除しても人間を排除しない

「ウイルスは排除しても、人間を排除しないという意志が重要です。」

(宗務総長メッセージより抜粋)

東本願寺のホームページに、全文と動画も掲載されています。ぜひご覧ください。↓

http://www.higashihonganji.or.jp/news/info/34576/

 

 世界中で新型コロナウイルスの感染拡大が続いています。日本では緊急事態宣言が解除されましたが、第2派第3派の恐れもあり、予断を許さない状況です。

 今こそ私たち一人一人が協力し合って拡大を防ぐべき時ですが、残念ながら感染者やそのご家族に対する誹謗中傷が後を絶たないという痛ましい報道もなされています。ウイルスの症状に加え、言われなき誹謗中傷までされれば、その苦しみはいかほどのものでしょうか。

 今や、生活に必要な最低限の外出や、徹底した手洗い消毒などに気を付けていたとしても、誰がいつ感染してもおかしくない状況です。もし感染してしまったら、ウイルスを他者に移さないために隔離は必要でしょう。しかしはからずも感染してしまった方やそのご家族をさらに、苦しめ傷つけるような言動はやめるべきです。まずは、「感染した方はどんなに辛く苦しいか」そして「私も感染して、さらに他の人に移すかもしれない」という想像力が必要ではないでしょうか。

 仏教では、すべてのいのちがつながっており、「他者を傷つける道は自分を傷つける道 他者を生かす道は自分を生かす道」と教えられます。このような非常事態だからこそ、普段は隠れている人間の底が露になります。誰でも我が身が第一なのです。けれども、ただ我が身かわいさに罵り合い傷つけ合うだけでは、悲しい人生ではないでしょうか?ますます仏さまのお心に我が身を照らされながら、出来うる限り助け合い、心を通わせ合って、この難局を乗り越えていきたいものです。

2020年5月28日(駐在教導 鷲尾祐恵)