教化活動等についての意見回答まとめ
2020年10月1日、寺院・教区門徒会員・教区同朋の会委員のみなさんに、教化活動等についてのご意見を聞き取りさせていただき、その一部をまとめました。各寺などで参考になることがあるかもしれません。ご活用ください。
コロナ禍状況でもできることとして、特に寺報の発行や掲示板、文書伝導に力を入れている寺院が多いようです。またコロナ感染状況により、地域の意識も全く変わってきます。地元市町村の状況に即した教化活動が求められています。
なお、引き続きご意見をお聞かせいただきたく、未返信の方はご協力の程よろしくお願いいたします。
設問1 コロナ禍状況における教化活動・聞法活動で工夫していること
◆回答 まとめ
【教化活動などの工夫】
①寺報の発行(同意見多数)
・毎月の同朋新聞に同封して寺報を発行している。
・臨時の寺報を出した。今後も出していきたい。
・内容は自坊別院本山の話題、宗祖にまつわる話、正信偈の解説等。
②掲示板での伝導(同意見多数)
・法語の掲示伝道の回数を増やした。
・ペットの犬が会話をしているスタイルで毎月ミニ法話を掲示。目を引くので、犬好きな方をはじめ色々な人が見てくれる。
・掲示板に法語と行事案内、向拝ガラス戸には一般の方の言葉を貼っている
③その他文書伝導など(同意見複数)
・寺報(年2回)とは別に、プリントを配ったりしている。
・様々なパンフレットなどをできるだけ配布するようにしている。
・5月頃からマスクに法語やミニ法話を同封し、有縁の方々へ配布した。
・法要などで読んだ和讃や偈文、御文などいくつかの現代語訳を配付している。質問等があれば、資料を添えてできるだけ丁寧に回答している。
④インターネットの活用
・法要や聞法会を、インターネットで中継したり動画を配信している。(同意見複数)
・インターネットを利用して、通夜と葬儀をリモートで実施した。関東のご門徒で、先方からの申し出だった。喜んでもらえ、やってよかったと思う。
・東京の施主からの要望で、インターネットによるリモート法要を行った。相手の顔も確認でき、後からの感想もとても良いものだった。仏事継続のためには必要な方法の1つかと思う。
⑤法話の工夫
・法話時間短縮のため要点をまとめたプリントを用意。法話終わりに「このプリントは宿題です」などと付け加えることによって、特に若年層からの仏事関係の質問が増えたように思う。
・法話の下書き(構成・内容等)を、事前に詳しく書いておくようにし,データとして残している。
・先の見えない不安を抱えているご門徒が多いと感じるため、月忌参りの際に時間を長めに取って面談形式で法話をしている。月忌参りの件数が少なくなっているため、ご門徒一軒あたりに多くの時間を取ることが出来る。
【コロナウイルス感染症への対策(日程など)】
①報恩講の参り合いをやめたり、法要日程を短縮。(同意見複数)
②3密対策をしつつもお講や聞法会を再開している。(同意見複数)
③6月永代祠堂経を1か月にわたって毎日勤めた。(参詣の分散がねらい)
④門徒報恩講はハガキで都合を聞いてから伺う。また文章による法話伝導をする。
⑤団体参拝や門徒会の旅行先は県内とし、バス満員の半数を定員とした。
⑥自坊門徒会のパークゴルフ大会を懇親会無しにして開催。
⑦今年の寺の維持費を半額にした。
【コロナウイルス感染症への対策(会場・設備など)】(同意見多数)
①受付に透明シートを張り、アルコール消毒液や体温計を設置。
②感染者が出た時のために、氏名・住所・電話番号を用紙に記入してもらった。
③行事のチラシに、マスク着用し体調の悪い人は参加しないよう記載。
④講師や読経する僧侶はマスクや透明のフェイスシールド着用。参詣者もマスク着用。
⑤講師演台に透明のアクリルシールドを設置。
⑥座席の間隔を空け、換気にも留意。
門徒自宅での法要等では詰めて座りがちなので、廊下なども使い密を避けるよう促す。
⑦お茶などはペットボトルで出す。お菓子は個人ごとに袋に分けて提供。
⑧手洗いの手ぬぐいを使い捨てペーパータオルに変更。
⑨お斎は中止する。代わりに弁当を用意し持ち帰ってもらったり、弁当の代わりに記念品を渡したりする
⑩月参りではアルコールスプレーを持ち歩き、勤行時もマスクを着けている。
【自身の聞法活動の様子】
①インターネットでの法話をよく聞くようになった。
②推進員の聞法会は、地域の感染状況などを気にしながらもやっている。
③月1回の推進員の会、同朋の会はいつもどおり開催されている。
④同朋会員が集まる活動は自粛している。役員で何度か相談し、皆さんと仏教や親鸞聖人の話がしたい、聞きたい、研修をしたいという意見を出したが、皆さんも同じであった。止むを得ないので過去のプリントや如大地、羅網、同朋新聞や本などをくりかえし読んでいる。読むだけでなくパソコンで要点をまとめるようにしている。
設問2 コロナ禍状況において、寺院や聞法会の活動について思うこと
◆回答 まとめ
【寺院の活動や姿勢について】
①困難な時期ではあるが、規模を縮小してでも法要や聞法会を継続することが大切である。感染の恐れを、地元の状況に合わせて判断することが大切で、むやみに恐れすぎない。
②やみくもに教化事業を再開せよという意見には反対する。もちろんまったくやらないのも残念なことだ。正しい安全対策をとって実施すべき、そのために正しい知識、安全対策を学ぶ必要がある。
③僧侶のやる気本気が問われる。今までと同じようにはできないことを踏まえて、少なくともコロナ感染症拡大を隠れ蓑のように使うことだけは避けたい。そもそも僧侶のやるべきことについて、コロナを言い訳にしてはいけない。
④厳しい状況下でも、聞法会や法会をする寺院がある。異常時こそ、工夫努力する寺院の姿勢が問われている。寺院淘汰の時代が来たという危機の自覚しかない。
⑤このような状況だからこそお寺で話を聞きたい、何か発信しないのかという方が宗派問わず増えている。皆でアイデアを出し合い、共有できるものがあればよいと思う。
⑥住職の思いを法話にし、寺報に掲載したり、月忌参りの時に配ったり掲示板を活用する。結構多くの方が見てくれる。住職の言葉で書くことが大事。
⑦門徒方と接する場を伝導の場とする。特に月忌参りをお経の配達とせず、日常の気づきを聞法への導入とするような会話ができればよい。
⑧月参りの際に悩みや相談を受けることが増え、改めて密接なかかわり合いが大事だと感じた。人を集める会合はできず、月参りの時に話をするくらいしかない。
【ご門徒の声を聞く】
①集いがなくて寂しい。聞法会を開いてほしい。お寺は広いからソーシャルディスタンスは取れる、飲食無しにしてできるのではないか。せっかくつながった色々な関係が薄れていく。1人でホームページや文章の法話を見てもどこかしっくりこず、寂しい。コロナ対策は3密を避け消毒をすることで十分だと思う。(同意見多数)
②寺はコロナを言い訳にしている。「収入の減」を訴えるばかりで、具体的な活動をしていない。コロナで暇になったからといって、すぐに布教活動を活発化できるわけでなく、日頃の活動こそがこういうときに物を言ってくると思う。
③月参りで、正信偈や御文の意味が分からない。同朋新聞のような形で文章にして配布できないものか、という門徒の意見有り。
④行事等にあまり強引な勧誘を行うと,逆に「寺離れ」をされてしまうので、門徒さんの感触に即しながら、求めておられるものを適切に提供するようにしている。
⑤普通は自分でお寺を選んで門徒になったわけではないので、お寺への意識や責任感が薄いと思う。回りの人たちはお寺=お金の話と思っている人が多い。住職次第ではないだろうか。
⑥寺院ごとに寺報や独自の印刷物があれば積極的に配布してほしい。手次寺はもちろん、それ以外に同じ組の寺院のものを紹介し合えば良いのではないか。
設問3 今後の教区の教化事業などに対する意見要望
◆回答 まとめ
【情報の共有や人々の交流】
①門徒さんや一般の方は、寺院が何をしているのか知らない人が多い。教区や寺院の活動を知ってもらうことを通じて、寺院に足を運んでもらい聞法してもらう工夫を継続する。
②現状でできることを模索したい。他寺院や地区でどのようにされているか、紹介してもらい参考にしたい。
③コロナ禍における各寺院の実態(意識の変化、法要の減少割合、行事の中止・縮小内容など)を把握して、問題点を見つけ、対策を考え、実行していく事を考える研修会を開催したらいいのではないか。
④本山の安全対策担当者などを呼んでコロナウイルスについての正しい知識と正しい安全対策について学ぶ研修会を催してほしい。
⑤教化活動充実のため、様々な人々との交流と情報交換の場が持ちたい。他組との交流、門徒同士の交流、本派との交流など。
【インターネットの活用】
①教区ホームページの充実。法要や法話の動画を掲載する。法話の動画は3~10分程度でもよい。また、門徒方へ向けて教えや親鸞聖人のことを分かりやすく掲載してほしい。
②インターネットを利用した学習会・聞法会。講師も移動せず実施できる研修会に取り組む必要があると思う。動画や会議アプリの活用が考えられるが、全ての人が導入できるわけではなく、導入も面倒くささがある。インターネット活用方法の講習会をしてほしい。
③ホームページのQRコードを作り、いつでも見てもらえるように、スマートフォンにアイコンを入力してもらう工夫を検討する。
④インターネットを活用しない門徒方用に、ホームページの内容を紙ベースで配布してほしい。
【その他】
①検温とマスクと手洗いの対策で十分ではないか。感染者がいない地域では、恐れすぎず教化事業を実施して欲しい。
②個々の寺院では難しい、教区だからこそ実践できる場を作っていただければと思う。
③各組で僧侶・坊守対象の研修をしてほしい。また各寺院で座談、研修、輪読など何か継続して学習できる指針を提案してほしい。
④法話を勉強する機会が、もっとほしい。
⑤各寺へ寺報の発行を促すようお願いしたい。文章作成は自身の勉強にもなり、デジタル機器等の扱いにも慣れることになる。A4片面で年2~3回でも結構。
⑥今後、僧侶の人数も寺院の数も減っていく傾向にあるので、「減らせる業務・役職」を考えていく必要があるのではないか。
⑦ラジオやテレビの仏教関連番組や法話集などの推薦図書があれば、教えてほしい。
⑧教区に対して要望は無い。1人1人のネットワークを通してすべきことできることを共有し、自分自身の悩みと教えの言葉に向き合う以外ありません。
以上