【開催報告】解推公開講座 映画「一人になる」上映会

2022年4月19日、教区解放運動推進協議会の主催にて標記公開講座を開催しました。20名の方が参加されました。

この映画は、真宗の僧侶である小笠原医師の生涯を追ったドキュメンタリー映画です。私たち大谷派教団は、国をあげたハンセン病患者強制隔離政策を無批判に支持し、「 業病」という言葉であきらめを説いてきました。 そんな中、 国策に追従する(みんなになる)ことなく 、どこまでも医師としての志を通した(一人になる) のが小笠原医師です。

映画鑑賞後は、この映画の製作実行委員会で発起人の小松裕子さんに、思いをお話いただきました。

以下は、参加された方の感想です。


「一人になる」を観て

小笠原医師を描いたこのドキュメンタリー映画上映の呼びかけには、「群れるな…みんなになるな…」という言葉が置かれている。
ハンセン病患者さん、そしてその家族に多大な苦しみを与え、今なお与え続けている「強制隔離政策」。しかし、この政策でさえも「みんなになって群れる」時、それはごく普通の事柄になってしまうのではないか、ということを強く感じました。
特に私が国の一員という群れにすっぽり入る時、ハンセン病の人を見つけ出し、隔離していくことは、ごく当たり前のことになるのではないだろうか。この政策に異を唱える者を「国賊」と呼ぶことにはそのことが強く表れていると思います。
では何故、小笠原医師は「一人になる」ことが出来たのか?そこに「依り処」ということを改めて考えさせられました。宗教では当たり前のように使われるこの言葉だが、あなたは何を依り処としているのかという事を問われていると感じました。

(10組浄光寺 齊藤弘顕)


2019年、ハンセン病問題全国交流集会が富山で開催され「業」について学んできました。ハンセン病は業病と言われ前世の悪業の報いによって起こる病とされてきたという事実を、改めて自分の中で考えるきっかけとなりました。

今回の映画『一人になる』は、僧侶であり医師であった小笠原登氏の足跡をたどったドキュメント映画。
今日までハンセン病患者が民族浄化、国民の恥辱ということで国策のため強制隔離された生活の苦悩等の話を伺ってきましたが、病を治す医師の視点からみた思いを観せていただいた思いです。一人の医師が国を相手に戦う訳でもなく唯ひたすらに患者に向き合い病を治そう、一人でも多く療養所に入所させないでおこう、という患者一人ひとりに寄り添う一人の人間の姿が表わされていた映画でした。

―群れるな ひとりになれ みんなになるな ひとりになれー

今の自分が問われているように思えました。

(10組覚證寺 舘朋子)