5月21日(火)、社会教化小委員会主催の研修会「お寺って何するの?~葬儀について考える~」を開催しました。
講師の 小谷みどりさん(シニア生活文化研究所所長)は、生命保険会社の研究員を経て、高齢者の生活や死生観を研究しておられます。
「お葬式をしない人がなぜ出てきたのかというのは、社会や家族のあり方が大きく変わってきたからなんです」
参加者およそ40人を前に、小谷さんはこう指摘しました。
「お葬式を出したり、お墓を守る人が減っている。お葬式は亡くなる人と、見送る人の両方いないと成立しない」
さらに、核家族化、1人暮らし高齢者の増加、生涯未婚率の上昇などにより家族・親戚ネットワークが弱体化し、無縁仏が増えている問題も指摘しました。そんな現状の中、今後寺院に求められる役割は人と人とを繋げることだと小谷さんは提言し、前半の講義を締めくくりました。
講義の後は4班に分かれて座談会をおこない、参加者それぞれが講義を聞いての感想や、生死について、家族について、寺院の有り方についてなど、自分の思いを自由に話し合いました。
後半の講義では、小谷さんは寺院と僧侶の現状について強烈な問題提起をされました。
「坊さんたちには危機意識がない。お寺がやれることは葬儀以外にもたくさんあります。僧侶は、人々に求められていることに本当に向き合っているのか。声が聞こえていますか?」
「自分は僧侶としてある程度はきちんとやっている」という僧侶側の思いに対して、実際門徒さんや葬儀の参列者はどう感じているのか。様々な具体例を挙げながら、そのギャップについても訴えられました。
個人的には、次の話が強烈に心に刺さりました。
「お寺でコンサート等のイベントは一過性であり、リピーターにはなりません。またそういうイベントはお寺以外でいくらでもやっています。ある調査では、人々がお寺に期待していることのトップはお経と法話、この2つです。それなのに寺で法話会をやっても、人が来ない。なぜだと思いますか?話がつまらんからですよ!」
最後に、社会教化小委員会幹事の見義智証さんより
「宗教者の仕事は、より多くの人と一緒に語り合って聞き合う、そういうことをしっかり活動というか生き方として表現していきたい」
大きな刺激と問いをもらった研修会となりました。本研修を受け、今後の取り組みについても社会教化小委員会で検討を重ねていきます。
駐在教導 鷲尾